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WORLD

「ユダヤ・マネー」の最近事情

世界中で猛威を振るう「新興財閥」

2015年5月号

 イスラエルと世界中に散らばるユダヤ系富豪の連携が強まっている。米国内のユダヤ系による「イスラエル・ロビー」の強力さは以前から知られているが、近年は旧ソ連のロシア、ウクライナ、中央アジア出身のユダヤ系オリガルヒ(新興財閥)が、イスラエルを世界進出への足掛かりに使っている。ユダヤ系富豪たちは、それぞれの政治的利害は相反しながらも、「イスラエル擁護」で結束する。イラン核協議や中東和平交渉の失敗で孤立を深める中で、イスラエルを支えるユダヤ・マネーは強固になる一方だ。 プーチンも共存の道を選ぶ  四月の米政界は、民主党のヒラリー・クリントン前国務長官、共和党のテッド・クルーズ、マルコ・ルビオ両上院議員らの大統領選出馬表明で沸いた。日本の新聞では政策や人柄の紹介が主だったが、米有力紙は、各候補と「イスラエルとの関係」に焦点を当てて報道した。各候補のイスラエルとの緊密さ次第で、ユダヤ系の「献金の行方が決まっていく」(ニューヨーク・タイムズ紙)からだ。もちろん、誰もイスラエル批判などしない。  共和党は特に、イランとの核協議に反対する姿勢を強め、オバマ政権と対・・・