習近平を脅かす「北京五輪汚職」
王岐山「七月訪米」の黒い密命
2015年5月号
中国共産党の中央紀律検査委員会が天網作戦を始めると発表した。「天網恢々、疎にして漏らさず」に言う天網だ。汚職で蓄財し海外に逃亡した腐敗官僚を指して「外逃貪官」という新語ができた。外逃貪官を地の果てまで追いかけて天網に追い込み、持ち出した国有資産を回収する構えだ。
中国メディアによると、江沢民政権以後、汚職官僚とその家族が国外に持ち出した資金は約八千億元(約十五兆円)にのぼるとされているが、汚職摘発が進むにつれ資金流出は予想を超える巨額なものになりそうだ。
「しゃべれば政権はつぶれる」
習近平政権の腐敗摘発は、大物小物の悪徳官僚を捕まえる「トラ狩り、ハエ叩き」に加え、昨年から「キツネ狩り」が始まった。「キツネ」とは外逃貪官のことで、その身柄を押さえるのが公安部のキツネ狩り。一方、資産回収を主眼にしたのが紀律委の天網作戦で、中国人民銀行(中央銀行)も参加している。キツネの逃亡先は、中国との間に犯罪人引き渡し条約のない米国やカナダ。公安部が逃亡者リストを提出して捜査協力を求めているが、米国は人権抑圧で悪名高い中国の公安機関への協力には慎重だった。
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