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政治

安易な農協改革が農村を破壊する

進藤 榮一(筑波大学大学院 名誉教授)

2015年5月号

 ―安倍晋三首相がJA全中会長の首を手土産に訪米しました。

 進藤 対米従属外交の象徴だろう。TPP(環太平洋経済パートナーシップ協定)を進めたいオバマ政権はもちろん歓迎する。TPPのために安易に農協を解体すれば早晩、日本の農業はズタズタになってしまうだろう。国の農業政策の失敗によって、苦しんでいる農家を辛うじて支えてきた農協の役割は無視することはできない。農業を先細りさせれば、国の根幹が揺らぐ。


 ―農協改革は間違いですか。

 進藤 巨大官僚組織の問題点を見直すことは必要だ。また、農協の下で漫然と経営努力しない農家は問題だろう。しかし意欲のある農家を、それこそ「協同」の理念で支えるための農協は必要だ。国の農政は常に外圧、というよりも「米国圧」に屈服して日本の農業を先細りさせてきた。たとえばバターなど乳製品の品薄が農政失敗の好例だ。にもかかわらず今回はTPPを進めて、さらに荒・・・