自民党「人材枯渇」が招く国難
一強与党でも止まらぬ「議員の劣化」
2015年5月号
かつて政治家は尊敬の念を込めて「選良」と呼ばれた。しかし、もはや「選良」の名にふさわしい政治家は皆無に近く、「選良」も死語になった。それほど国会議員の劣化はとどまるところを知らない。一年生議員は言うに及ばず、日本のトップリーダーの首相たる安倍晋三に至るまで例外なき質の低下は目を覆うばかりだ。
四月十六日、自民党幹事長谷垣禎一の携帯電話が鳴った。
「自民党には王者の風格が必要です。明日の事情聴取は形式的なものに終わらせるべきです」
長く自民党政権を見つめてきたベテラン幹部からの助言だった。事情聴取とは説明するまでもなく自民党情報通信戦略調査会(会長川崎二郎)がテレビ朝日とNHKの幹部を党本部に呼び付けたのを指す。川崎は谷垣の数少ない側近の一人だ。谷垣自身も安倍とは対極に位置するリベラル派の自民党議員の代表的存在とみられていた。
「明日、川崎は表に立たず坂本哲志(熊本三区)に司会をやらせるようにしてあります。すぐ終わります」
表向きは誰もが官邸に沈黙
ところが、十七日午前十一時から始まった事情聴取を主導したのは川崎だった。中・・・