米共和党でまたぞろ「内紛」勃発
早々遠のく「ホワイトハウス奪還」
2015年4月号
米国の野党・共和党が、上下両院とも多数派になった新議会で、早くもつまずいている。民主党地盤の選挙区から選ばれた共和党議員が、保守色の強い執行部に対し反発しているためだ。「オバマ・リパブリカン(共和党員)」と通称される議員の増加に、党は主要政策分野で分裂状態に陥り、ホワイトハウス奪還への道筋は、早くも怪しくなっている。
最近の米政治の停滞は、児戯の域である。議会の攻防がいったい何を争っているのか、当事者以外にはほとんど分からない。
世界最強の国で最も力のある議会(上院)が、三月の大半をかけて争ったのは、「人身売買被害者のための正義実現法案」という、大半の米国人には縁のない法案だ。犯罪組織の人身売買で、「性奴隷」などにされた被害者への補償と、犯罪撲滅のため、向こう四年間にわたり年額二千五百万ドルずつ支出するもの。当初は民主、共和両党に全く対立点がなかった。
ところが三月、六十ページ超の法案に、「(レイプされた女性の)中絶には公費支出をしない」という一文が「いつの間にか忍び込ませてある」(民主党)ことを、民主党側が発見し、「これを削除しない限り、法案を通過させない」・・・