成長余力なき「りそな」の漂流
公的資金完済でも消えぬ「経営不安」
2015年4月号
「これで桎梏を断ち切れる」。幹部の一人が安堵の声を漏らす。
りそなホールディングス(HD)が公的資金の完済に踏み切る。旧あさひ銀行と近畿大阪銀行に優先株として注入された残債計一千二百八十億円を六月下旬の定時株主総会後、当初計画を約三年前倒しする形で繰り上げ返済する方針だ。二〇〇三年六月に血税一兆九千六百億円が注入され、実質国有化されてから十二年、旧行時代から引き継いだ分を含めてピーク時には三兆一千二百八十億円にものぼる公的資金を抱えたが、ようやく独り立ちにこぎ着けることになる。
完済を機に、りそなでは「優先株配当の負担が軽くなった」として、一般株主らへの利益還元策を強化する。一五年三月期の配当を従来計画から二円引き上げて年十七円に増配。一六年三月期以降、中間配当を開始するほか、継続的な増配も視野に入れる。保有株数に応じてマイルなどに交換できるポイントの付与を盛り込んだ株主優待制度なども導入する。
首脳陣の気炎も上がる。完済計画発表会見で、東和浩りそなHD社長は「攻めの経営へと転じる」と宣言。傘下にある埼玉りそな銀行の池田一義社長も「(政府の関与などで)制約のあっ・・・