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経済

《経営者東京裁判 》御手洗 冨士夫(キヤノン会長兼社長 CEO)

君臨二十年で「停滞企業」に転落

2015年4月号

 もはやこの男の言い訳など聞きたくもない。責任を痛感して本来なら潔く身を退くか、せめて進退伺いでも出すというのが、けじめのつけ方だろう。

 キヤノンの二〇一四年十二月期決算は何やら〝消化不良〟とでもいう形で終わった。売上高は三兆七千二百七十二億円と前期比〇・一%の減収。営業利益は同七・七%増の三千六百三十四億円を確保したものの、増益率は一ケタ台にとどまった。期中に対ドルで約八円、対ユーロでは約十一円も円安が進行したにもかかわらず、である。海外販売比率が八割を超えるキヤノンでは、こうした円安分だけで売り上げ押し上げ効果は一千八百六十億円にものぼる。さらに対ドル一円円安で営業利益は六十億円前後、ユーロでは同じく三十億円前後上振れする。何のことはない。為替の恩恵がなければ五%を超える減収で、そのうえ営業減益ではないか。

 実は一三年十二月期決算も「中身はすかすかの『張り子の虎』」(市場関係者)だ。五千百四十億円にものぼる巨額円安効果でかさ上げされたに過ぎず、実質的には減収減益。つまり一四年十二月期は連続減益というわけだ。

 超・・・