三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

経済

発火寸前の「大型薬害事件」

脳卒中予防薬で死者が「続出」

2015年4月号

「久々の大型薬害事件になりそうです」  医療業界誌専門記者が語気を強める問題の薬剤は、日本べーリンガーインゲルハイム(以下、ベ社)が二〇一一年三月に販売を開始したダビガトラン(薬品名プラザキサ)である。「非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制」に対して効能が認められている。何やら長ったらしい病名だが、長嶋茂雄・巨人軍終身名誉監督が麻痺となった病気と言ったらおわかりいただけるだろうか。  七十歳以上の心房細動患者は、約五%の確率で脳卒中を起こす。処置が悪ければ寝たきりになる。脳卒中を予防するには、ワルファリンという「血をサラサラにする薬」を飲み続けなければならなかった。  ワルファリンの代謝は個人差が大きく、服用量は患者によって異なる。服用量が足りなければ、脳卒中を起こすし、多すぎれば体内の様々な箇所で出血を起こす。このため、定期的に血液検査を行い、服用量を調整しなければならない。  採血はおっくうだ。「血をサラサラにする薬」を飲んでいるため、採血後は血が止まりにくく、アザになるからなおさらだ。  また、ワルファリンは血液凝固に・・・