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WORLD

どこまで堕ちるか中国経済

デフレの足音と「底抜け」のリスク

2015年3月号

 中国経済の成長鈍化はもはや当然として、今、世界が注目しているのは、鈍化で止まるのか、という点だ。今後二〇二〇年までの成長率の見通しのなかには三%台までの下落を見込むエコノミストも出てきている。習近平政権が昨年から呼び始めた中国経済の「新常態(ニューノーマル)」は底抜けのリスクを帯び始めた。  今、中国経済で注目すべき指標は物価、不動産価格、貿易の三つだろう。物価は国内のモノの需給や原材料価格動向を示し、不動産は消費者心理、貿易は輸出が国際市場と競争力、輸入は国内の消費を映し出すからだ。  消費者物価は一四年通年で前年比二・〇%の上昇だったが、昨年夏以降、前年同月比の上昇率はジリジリ下がっている。七月の二・三%が十月には一・六%、そして十二月には一・五%にまで低下。年明けの今年一月は〇・八%と政府を慌てさせるほどの低い上昇率まで下がった。もちろんまだマイナスにはなっていないため、デフレ状態ではないが、デフレの足音が聞こえ始めている。 外資の脱出が本格化  日本の企業物価に相当する工業生産者出荷価格はすさまじい落ち込みだ。  昨年七月時点ですで・・・