世界の激動をよそに、米国議会の混迷は深まるばかり。オバマ大統領の移民制度改革を巡って、最近は国土安全保障省の予算が大きな争点になった。「大統領を止めようと、多数の行政訴訟が進行中で、その判決や仮処分が行政を止める。複雑すぎて記事になりにくい」と在米邦人記者が苦笑いする。

　共和党が同省予算を人質に、オバマ政権と対決する中、「予算は止めないほうがいい」と発言したのがマルコ・ルビオ上院議員である。党内保守派の「ティー・パーティー（茶会）」から、一時は「茶会の皇太子」と崇められていた政治家だけに、党内の困惑も大きかった。発言の背景には、移民制度改革への熱意があった。

　ルビオは折から、新著『アメリカン・ドリームズ』を出版したばかり。故郷マイアミの書店で、サイン会に臨んだところ、殺気立った集団が来襲して、オバマ支持に回ったルビオに対し、「お前は偽善者だ」などと罵った。

　これで新著の中身に注目が集まった。ホワイトハウスを狙う若手政治家に特有な、自己宣伝本とは異なり、「みんなに経済機会を取り戻すにはどうしたらいいか？」を論じた政・・・