Book Reviewing Globe 370
中印「海洋の葛藤」の時代
2015年3月号
Samudra Manthan
Sino-lndian Rivalry in the Indo-Pacific
C. Raja Mohan
Carnegie Endowment for International Peace
2012
二〇〇八年末、中国とインドはともに、ソマリア海賊から国際船舶を守るためアデン湾に海軍を派遣した。
一一年のリビアのカダフィ政権崩壊の際、中国とインドはともに、同国で働く国民を救出、撤退させるため、軍艦を派遣した。
両国とも世界有数の海軍大国を目指している。インド・太平洋をめぐって海軍力を拡張しようとしている。中印関係は、これまではヒマラヤをめぐる内陸の葛藤だった。これからはインド・太平洋を舞台とする海洋の葛藤の時代に入るだろう。
インド海軍は、二二年までに空母三隻を軸に、艦船を百六十隻にまで増やすという野心的な計画を明らかにしている。それによって世界五大海軍国の仲間入りをする構想である。
中でも力を入れているのが空母と原子力潜水艦の開発である。
一方、中国も空母の開発に余念がない。同時に、原子力・・・