代表作なき「曽野綾子」
文壇でも論壇でも「賞味期限切れ」
2015年3月号
アパルトヘイトの是非―。作家、曽野綾子が産経新聞紙上に寄せたコラムを巡り、ちょっとした騒動が起きている。「実はアパルトヘイト云々が問題なのではない」と文壇関係者は語る。
「曽野を重用してきた日本の保守論壇や出版業界に問題がある。彼女の賞味期限は切れている」
そもそも曽野の作家としての値打ちはどれほどのものなのか。一九三一(昭和六)年生まれの曽野は、聖心女子大学在学中の五四年に、小説『遠来の客たち』が第三十一回芥川賞候補にノミネートされた。最終的に吉行淳之介の作品に敗れはしたものの、これをきっかけに文壇に華々しくデビュー。翌年には三浦朱門と結婚し話題となった。なお、曽野綾子はペンネームであり、本名は三浦(旧姓町田)千壽子である。
当時は、同年生まれである有吉佐和子とともに若手女流作家コンビとして文壇の中で光り輝いたが、両者の差は歴然としていると古い時代を知る元文芸編集者は語る。
「曽野が作家として注目されたのは最初だけ。あとは当時の女流作家としては目を引く美貌を持っていたから文壇でちやほやされていたにすぎない」
低い「文学的評価」
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