霞が関へ行かない「東大優等生」
外資系に「首席」を奪われる財務省
2015年3月号
三月二十五日、東京文京区本郷の東京大学キャンパスで卒業式が行われる。今年は改修の終わった安田講堂で三年ぶりに行われ、全体で約三千人の卒業生が巣立つ。その東大生の進路として真っ先に挙がる霞が関で異変が起きている。
「大学を出て入省してくる新卒者の質が落ちている。東大のトップ層はどこに抜けているんだ」
自身も一九八〇年代に東大を卒業した経済官庁キャリア官僚の一人はこう語る。官僚輩出がレーゾンデートルの一つというべき法学部を中心として東大生の志向は近年、変化が著しい。この官僚は「いろいろな批判はあるだろうが、東大首席が日本を支えようとしなければ先行き不安だ」と語った。
財務官僚に見る「質の低下」
東大首席卒業―。正式にそう呼ばれる制度があったのは遥か昔、明治から大正にかけての一時期だ。天皇が卒業式に臨席し、首席に時計を下賜した。
「現在の学部総代が首席にあたるのだろうが、成績がトップの人間が選ばれるわけではないので、一般のイメージとは違うだろう」
古い東大職員はこう語る。優秀な人間が指名されるのは間違いないが人格的に難があれば卒業式の・・・