武田薬品「医療費詐取」でも無罪放免
嘘と不正「やった者勝ち」の製薬業界
2015年3月号
「このままでは世界における日本製薬業界の信頼は地に堕ちる」
ある外資系製薬企業の社員が憤慨するその理由は、不正行為に対する外資と国内企業でのあからさまな処分の差別、二重基準だ。
東大病院血液・腫瘍内科の抗がん剤の臨床研究不正をきっかけに発覚した副作用の報告義務違反で、二月三日、厚労省はノバルティスファーマ(以下、ノ社)に、十五日間の業務停止命令を下した。
加えて、京都府立医大を中心とした降圧剤の臨床研究不正では、元社員がデータを改竄し、その研究成果を販売促進に用いていたとして、昨年一月、厚労省はノ社を薬事法違反で刑事告発している。今春には公判が始まる。
ノ社と対照的なのが武田薬品工業(以下、武田)だ。本誌昨年二月号で既報の通り、同社が販売する高血圧治療薬カンデサルタンの臨床研究「CASE–J」では、薬事法違反の可能性が極めて高い。
例えば「ゴールデン・クロス」の問題。CASE–Jでは、ファイザーなどが販売するアムロジピンとカンデサルタンが比較された。武田の販促資料によると、内服開始当初、アムロジピンと比較してカンデサルタン・・・