プーチンの壮大な「戦争目標」
ウクライナ「強奪」はまだまだ続く
2015年3月号
ウクライナ停戦が早々に崩壊する中、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の壮大な戦争目標が浮かび上がっている。クリミア半島とロシアを陸路で結ぶのみか、あわよくば現在の戦闘地域から約一千キロ離れたルーマニア国境近くまで、支配地域を拡大することをもくろんでいる。米欧とウクライナは重大な誤算にとりつかれており、破滅的な損害を被る可能性がある。
クリミア半島まで陸路でつなぐ
親露派勢力が二月十五日の停戦発効からわずか三日で制圧したデバリツェボ。今年に入るまで全く無名だった小都市での戦闘は、ロシアが軍事作戦に本腰を入れた証しとなった。
「連中はあらゆる武器を持っていた」
「ここはチェチェンだ。すべて廃墟だ」
敗走した将兵らが地元メディアに語った惨状から、ロシア側の入念な戦術が分かる。今年一月に始まった包囲戦では、あらゆる電波を妨害して、防衛部隊と司令部の通信を遮断。高性能重火器、戦車に加え、ウクライナ軍の制服で偽装した兵士が、ウクライナ陣営に忍び込んで、無差別に将兵を撃ち殺した。
「ロシア軍以外には不可能な、非常に組織立った、洗練された戦術だ・・・