政権の飼い犬と化した「連合」
組合員を守らぬ「労働貴族」の堕落
2015年3月号
「春闘」が始まって今年は六十年目の節目の年になる。労働組合が弱体化して久しいが、今年も賃上げの主役の座は安倍晋三首相に奪われた。労働問題の取材経験もある全国紙政治部記者が語る。
「民主党政権時代に絶頂だった労組はその反動で墜落した。今の連合を見ているとそう思う」
メディアでは「労組が労働者の敵になっている」との言辞がはびこっている。近年問題となっている非正規労働者やブラック企業について、日本労働組合総連合会(連合)などが動かぬことを批判する文脈で使われるが、的外れだ。労組は一義的には組合員のための権利団体でしかない。問題は、労組が今や組合員の利益さえ守らぬ遺物と化していることだ。
組合費で遊ぶ専従幹部
日産自動車の労組委員長をモデルとした小説『労働貴族』を高杉良が著したのは一九八四年、バブル景気に向かう只中だった。それから約三十年が経過し、いまだに労組の上に胡坐をかく組合幹部はいる。小説では組合委員長が会社の経営方針に影響を与えるほどの権力を掌握していたが、現在の腐敗幹部はそこまでのスケールはない。ひたすら組合予算で遊ぶだけの「労働匪賊」となっ・・・