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経済

米国対サウジ 「オイル紛争」の行方

原油安「長期化」で揺れる世界秩序

2015年3月号

 原油価格が一バレル四十ドル台に突入すれば米国のシェール企業の半数は破綻するだろう―。大方の専門家による見立ては、見事に外れた。原油価格の下落に反比例して、シェール・オイルの生産量は史上最高を記録したのだ。あてが外れたのが、安値抗争を仕掛けたサウジアラビアで、消耗戦を強いられている。原油収入の減少は、石油輸出国機構(OPEC)加盟国の経済破綻や政情不安も引き起こしかねず、世界秩序を大きく揺さぶる要因となってきた。  原油価格の先行きは当初、極めて楽観的だった。二〇一四年十月時点の欧米投資銀行のリポートは「原油価格が一バレル八十ドルを下回ると、米国のシェール・オイル生産の三分の一が採算割れとなり、八十ドルは底値に近い」と断言した。米国の名門石油サービス会社「ベーカー・ヒューズ」でさえ、一バレル七十五ドルに下落すると、米国のシェール・オイル生産量が落ち着くと予測していた。  日本でも「サウジはOPEC加盟国の膨張する社会保障費による財政均衡も考慮し、原油価格下支えのために原油生産量を削減する。適正な原油価格は一バレル七十ドル程度。原油価格が一バレル七十ドルを割るとシェール・オイ・・・