アジアの中の「イスラム国」
各国で膨張する「系列組織」の脅威
2015年3月号
二人の自国民が殺害されたことで、「イスラム国(IS)」の脅威について遅ればせながら気付かされた日本人。「平和ボケした一般人とは違う」「従前より問題視していた」という向きもあるだろう。しかし、ISの脅威がすぐ近くにまで迫っていることをどれだけ認識しているか。
インドネシアでイスラム過激派対策の最前線に立つ治安組織の幹部はこう語る。
「我々はこれまでイスラム国について遠い異国の現象だと捉えていた。最近ではその考えが大きな誤りだったことに気付いた」
すでにイスラム過激派が国内にいるインドネシアの当局者でさえ、甘い認識の転換を余儀なくされている。この幹部は、「中東や欧米だけでなく、インドネシアはもちろん南アジアや東、東南アジアもISの標的になっている」と警鐘を鳴らす。
インドネシアからの参加者が増加
中でも最前線に立っているのは多くのイスラム教徒を抱える東南アジアの二カ国だ。本誌二月号「『テロの温床』と化すマレーシア」でも触れた通り、マレーシアは国内外のテロリスト予備軍を呼び寄せ、ISへと送り込む拠点と化している。
当局が把握・・・