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中東「核拡散」の危機迫る

「イスラム核保有国」が一気に増加へ

2015年3月号特別リポート

 三月二十四日の「包括合意」、文章化して完成させる七月末の「最終合意」を目指して事務レベルの詰めが行われている。昨年十一月にスイスのジュネーブで、イランと米英独仏中ロ六カ国による核協議の交渉期限が延長された結果だ。合意が成立すれば、まさに歴史的な意義を持つ。一九七九年のイラン革命と米大使館人質事件以来の両国関係には新しい時代が開かれる。

 オバマ米大統領としてはこれを、残り少なくなってきた任期最大の外交成果としたいだろうし、イランは穏健外交路線を掲げたロウハニ大統領の政治生命がかかっている。米欧による経済制裁措置は十分に効いてきたし、世界的な経済情勢は低迷し、石油価格が下がっている事実はイランにどれだけ経済的打撃を与えているか。

 両者の主張は、イラン側に核計画を推進させないようウラン濃縮活動を制限しようと考える米国を中心として国連安全保障理事会常任理事国にドイツが加わった六カ国と、米欧側が実施してきた経済制裁措置をイランがどれだけ大幅に緩和させるかのギリギリのせめぎ合いが切迫してきたと説明できるだろう。

 ところが、米・・・