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社会・文化

音楽コンクール「過剰反応」の日本

勝者でも本場で大成するのは少数

2015年2月号

 今年は、世界で最も重要な音楽コンクールとされるショパン国際ピアノコンクールと、チャイコフスキー国際コンクールが、同時に行われる。前者は五年、後者は四年に一度だが、同年開催は稀とあって、日本ではすでに話題を呼んでいる。  コンクールは、日本では音楽界の枠を超える大きなテーマである。国際的な大会が行われれば、専門誌が詳細にレポートするだけではない。新聞やテレビ局さえもが特派員を送り、経過と結果を大々的に報道する。辻井伸行がヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで優勝した時のことを、思い出す読者もいるだろう。受賞者は、オリンピックの金メダリストさながら、国民的英雄として扱われる。  しかしヨーロッパでは、音楽コンクールは、それほどの意味を持たない。たとえショパンやチャイコフスキーで自国から優勝者が出ても、「そうですか」くらいの反応である。新聞でも、文化欄の短信枠に、数行の記事が載る程度だ。もちろん開催地では注目を集めるが、海外のメディアが熱心に追いかけることは例外的である。また文化関係者、聴衆の間でも、「優勝したからといって、本人が大成するかは分からない」という認識がある。受・・・