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政治

《罪深きはこの官僚》三宅 智(厚生労働省 医薬食品局食品安全部長)

農薬基準緩和で国民の健康を脅かす

2015年2月号

 厚生労働省が国民の健康を害する企みに加担している。現在、食品安全委員会で、ある農薬の残留基準緩和が検討されている。検討と言いつつも、緩和することが既定路線というから看過できない。

 二〇一三年十月、農林水産省がネオニコチノイド系農薬の一種である「クロチアニジン」の残留基準緩和を厚労省に要請した。内閣府の食品安全委員会に諮りながら、厚労省は動き出した。同委員会の事務局は、農水、厚労両省からの出向組によって占められている。トップは農水省の指定席で、厚労省は人体への影響など科学的な裏付けを集める下請けだ。実際、このときも農水省は住友化学など農薬メーカーの要望を受けて厚労省への働きかけを行っている。

 組織構造は下請けだが、厚労省は国民の健康を守る最後の砦だ。しかしこれがまったく機能しない。厚労省担当記者が語る。

「食品安全部は厚労省でも傍流で人員のごった煮のような部署」

 定期的に異動するキャリア官僚にとって、ほんの通過点に過ぎない。結果として、昨年五月以降に食品安全委員会や専門部会で議論が重ねられてい・・・