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WORLD

南アのメディア王「ナスパース」の闇

世界情報覇権を狙う「白人至上主義者」

2015年2月号

「ナスパース」という一語を聞いてピンとくる日本人は、世界のメディア業界に通じる人に限られるだろう。百三十カ国以上でメディア事業を展開し、今や世界最大級の勢力にのし上がったナスパースは、南アフリカの企業だ。同社は新興国のネットベンチャーやメディアへ投資を続け、その高成長とリスクテイクぶりが、市場の期待を集めている。  時価総額は、一月二十三日時点で約五百九十七億ドルに達した。ルパート・マードック率いる米ニューズコーポレーションは八十七億ドル。二〇一三年に分社化した二十一世紀FOXの四百六十九億ドルと合わせても五百五十六億ドルでしかない。「アフリカのマードック」と称されたのも、もはや過去のことだ。  日本では存在さえも知られていない同社だが、傘下の一部門が上場前のフェイスブックに投資をしていたと聞けば、その影響力のほどがご理解いただけるだろう。だが、その生い立ちは様々いわくがあり、「新興メディアの台頭」という単純な物語でもない。 アパルトヘイトを支えた過去  ナスパースの事業を大別すると、有料テレビ放送、インターネット、紙媒体の三つに分けられる。まずテ・・・