トルコは遠からず「政変」へ
エルドアンの深刻な「内憂外患」
2015年2月号
トルコのエルドアン政権の内政・外交が再び、危険水域に入った。中東政策は総崩れで、イスラエルとの関係は冷え込み、米国からは「もはや同盟国とは言えない」との疑念が突きつけられている。外資に支えられた公共事業主導の「土木経済」は、自国通貨リラの暴落で、重大な岐路に立たされている。
エルドアン大統領は新年、「権力の絶頂」を存分に味わっていた。昨年十月に完成した巨大な大統領宮殿で、オスマン・トルコ帝国時代の甲冑をまとった兵士たちをはべらせ、スルタン気取りで写真撮影をした。新宮殿は、ルイ十四世のベルサイユ宮殿を凌ぐ大きさ。「トルコ経済に悪影響をもたらす」(トルコ経済省)との理由で、総工費は公表されていない。
大統領主宰の新年閣議では、言いたい放題。日本人人質の殺害予告を突きつけられた安倍晋三首相からは、「助けてほしい」と頼られた。仇敵であるイスラム教指導者、フェトフッラー・ギュレンの一味に対しては、新たな大規模粛清を断行した。
「我が世の春」は、まだ続く。
黒海とマルマラ海を結ぶ「イスタンブール運河」の工事は、今年で三年目。ボスフォラス海峡の混雑緩和が目的で、スレイ・・・