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欧州「再分断」を狙うプーチン

「東欧取り込み」ロシアの瀬戸際戦略

2015年2月号

 ルーブル暴落で経済危機に直面するロシアのプーチン大統領が、ウクライナでの戦争に加えて、東欧諸国を取り込むことで、米国と欧州連合(EU)に対して反転攻勢をしかけている。ロシアにとっては苦境の中での大きな賭けだが、プーチンは自前のヨーロッパ分割を作り出すことで、活路を開こうとしている。  一月二十一日、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相がまたも、欧州の政治家たちに謎をかけた。モスクワでの記者会見で、ロシアとバルカン半島・南欧を結ぶ、天然ガス・パイプライン計画「サウス・ストリーム」を正式に断念し、その代わりにロシアとトルコを結ぶ「トルコ・ストリーム」を建設するというのだ。 「ロシアの天然ガスが必要な国は、『自力で自国とトルコを結ぶパイプラインを作れ』というもので、ブルガリアやハンガリーは仰天しています。強引なエネルギー外交で南・東欧諸国をロシアに引きつけようという狙いですが、経済的に見合うのか、非常に危なっかしい」と、在モスクワ外交筋が言う。  国策会社「ガスプロム」の試算では、年間六百億立方メートル超の供給量になるというが、トルコが必要なのは、その四分の一程度。サウス・スト・・・