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米国とサウジ「共闘時代」の終焉

「国王死去」でさらに揺らぐ中東情勢

2015年2月号

 サウジアラビアのアブドゥラ国王の死去により、オバマ米政権の中東政策は新たな撤退段階に入った。サルマン新国王は米国との同盟を、引き続き国家安全保障の基礎にするものの、約二十年にわたって中東全域を俯瞰した大立者が舞台を去ったことで、オバマ政権の中東関与は、ますます腰が引けたものになる。 米国はさらに関与を減らす可能性  アブドゥラ国王の死期が迫っていた一月中旬、米上院議員六人がサウジの首都リヤドに入った。迎えたのは間もなく国王になる、サルマン皇太子。七十九歳で、認知症の噂が絶えないサルマンは約三十分、上院議員らと会談した。この中の一人、ジョン・バラッソ上院議員は、政界入り前は医師であり、皇太子を間近で観察した。  同議員が米ウェブサイト「ポリティコ」に語ったところによると、「(サルマンは)熱心に会話に加わり、米国との友好関係や、イランの脅威について語った」という。もっとも、出席議員はもちろん、会談に加わった米側スタッフは全員、アラビア語を解さなかったため、誰も何が実際に語られたのかは分からなかった。  新国王からは即位後、「政策不変」のメッセージが繰・・・