原油安に震える米欧金融界
リーマン・ショック「再来襲」の声も
2015年2月号
各国株から外国為替まで各種市場が乱高下(ボラティリティ拡大)で始まった二〇一五年。市場関係者の間では「年間を通じてこの傾向は増す」との見方が大勢だ。中でも原油価格の急落は大きな懸念材料で、先物取引関連の損失に加えて、意外なところにも落とし穴が潜む。投機筋は「第二のリーマン・ショック」のシナリオに戦々恐々だ。
原油先物の損失は莫大
「恐らく我々の同業全体の七〇%は米国経済と株式市場に対して、楽観派だろう。しかし残りはそう遠くないうちにリーマン・ショック2が発生すると信じている」。のっけから容易ならぬことを言うのは、ある中堅ヘッジファンドの運用担当者だ。
悲観論の最大の根拠は、原油価格の崩壊である。一月下旬には国際指標WTI(ウェスト・テキサス・インターミディエイト)、北海ブレントともに四十ドル台。最近のゴールドマン・サックスのリポートは、「一時的ながらバレル三十ドル台後半まで」下がると予想した。この見方は市場で急速にコンセンサスになりつつある。
二〇一四年六月時点では、原油価格はバレル百十ドル台で、高止まりの様相だった。六月末の先物の建て玉は百・・・