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経済

大揺れのロッテ「重光王国」

「長男解任」で骨肉の相続争いが幕開け

2015年2月号

 ソウル市南部の松坡区で、二〇〇九年に着工した百二十三階建ての「第二ロッテタワー」の建設が進んでいる。既に下層階部分はオープンしているが、工事はトラブルの連続だ。韓国のロッテ社員の一人は、九十四階まで建ったこのビルを見上げながら語る。 「ロッテ繁栄の象徴となるはずだったが、連続するトラブルは不穏な未来を示唆しているのかもしれない」  日韓を股にかけ、一代で築き上げた王国が揺れている。ロッテグループ創業者、重光武雄(韓国名・辛格浩)総会長の長男、宏之氏(同・東主)が昨年末に突如として子会社役員から外された。畳み掛けるように一月八日の臨時株主総会で日本の持ち株会社であるロッテホールディングス(HD)の副会長から解任される事態となった。  非上場の同族企業の内幕はなかなか見えてこない。以前から「後継者」と目されてきた次男の昭夫氏(同・東彬)への世襲に向けた環境整備とみる向きもあるが、ことはそう単純ではない。むしろ今回の解任によって、いまだに大株主である宏之氏による反撃さえ想定されている。「韓国文化」ともいうべき財閥企業における相続戦争の幕が切って落とされた。 「兄弟喧嘩」の歴史は繰り返す・・・