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WORLD

《世界のキーパーソン》エリビラ・ナビウリナ(ロシア中央銀行総裁)

通貨危機に無力な「プーチンの側近」

2015年1月号

 金融危機後の世界経済では、各国中央銀行総裁の役割が飛躍的に高まり、その一挙一動が詳細に報じられた。二〇一三年二月にジャネット・イエレンが女性として初めて米連邦準備制度理事会の議長になったことは、世界の大ニュースだった。一方で、その八カ月前に、ナビウリナが女性初のロシア中銀総裁に就任した時、マスコミは戸惑いを見せた。「プーチン大統領の側近」という以外に、説明がつかなかったからだ。

 石油価格の下落と通貨ルーブルの急落の中、彼女はプーチン与党の政治家からも「人民の敵」「国賊」と罵声を浴びている。ルーブル買い支えで、貴重な外貨を数百億ドルも失ったためである。クレムリンは仕方なく、石油価格の下落を「アメリカとサウジアラビアの陰謀」とし、ルーブル下落を「北大西洋条約機構(NATO)が仕掛けた経済戦争」と決めつけた。

 ロシア政府の歳入の半分は石油・天然ガス輸出でまかなわれる。国民のほぼ半分は、公務員や年金生活者など国庫に依存する身分である。こんな国では、石油価格とルーブルの下落は、国民生活を直撃する国家的大惨事だ。総裁はテレビ演説で、「私たちは新しい・・・