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連載

本に遇う 連載181

新年会への客人たち
河谷 史夫

2015年1月号

 年ごとに、こちらよりあちらの方に知り合いが増えてくる。

「新年は、死んだ人をしのぶためにある」と定めた中桐雅夫に倣い、例年あの世から友人知己を招いてわたしは新年会を開く。

 中桐は未年だった。六十三歳で死んだが、生きていればことし九十六歳になる。「おなじ未年の友に」と題した詩を書いた。

「きみは日記を焼いたりしたことがあるかい/おれはあるんだよ、五十になった頃の秋だ/天城の尾根で三冊のノートを捨てた」

 思い出したくもない過去は誰にもある。反対にいつまでも忘れられないことがあるだろう。

「『風立ちぬ、いざ生きめやも』/戦争前に覚えたこの言葉を戦争が叩き潰した/おない年に生まれて先に死んだやつの顔/悪を知らなかったあの顔が忘れられるものか//生きてゆくとはそういうことだろうかねえ/おれがおりてきた薄の尾根道も長かったよ」

 友に戦後はなかったのだ。

 詩人は元旦から酒であった。

「心の優しいものが先に死ぬのはなぜ・・・