自動車業界「タカタショック」の本質
安全「軽視」のコスト削減が真因
2015年1月号
米国で吹き荒れる「タカタショック」。タカタ製エアバッグシステムに起因するリコール(回収・無償修理)は、全世界で約二千万台に拡大している。今後、三千万台に達するとの見方もあり、収束の兆しすらみえない。だが、今回の「タカタショック」は、これまでのリコール騒動とは一風変わった様相を呈している。タカタ製エアバッグを採用した完成車メーカーが事態収拾に向けて奔走しているのに対し、当のタカタの対応は鈍く、落ち着き払っているかのようにみえるのだ。なぜ、完成車メーカーと部品メーカーとの間に、このような「逆転現象」が生じたのか。そこには「タカタショック」を引き起こした真の原因が潜んでいる。
部品開発の「丸投げ」
「地域限定のリコールが、もはや適切な措置でないことは明らかだ」―。米運輸省道路交通安全局(NHTSA)のデービッド・フリードマン局長代行は二〇一四年十二月三日、米議会の公聴会で全米規模のリコールに応じないタカタの姿勢を批判した。これに対してタカタの清水博品質保証本部シニア・バイス・プレジデントは「リコールを全米に広げる必要があることを証明する根拠がない。エアバッグの不具・・・