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経済

大和証券「ミャンマー事業」の闇

株式市場開設で手を染めた「悪行」

2015年1月号

 世界銀行の最新予測で、ミャンマーの二〇一五年の国内総生産成長率は八・五%に上るとみられている。その経済発展の象徴である初の証券取引所が一五年十月の取引開始に向け準備されている。しかしこの市場は公正な取引が期待できず、ミャンマーの負の部分が凝縮された歪んだ代物となるだろう。その主犯が日本の大和証券だというから看過できない。現地情勢に明るい大手邦銀関係者が憤る。 「大和証券グループがミャンマー証券取引所開設を主導していること自体が疑問。同グループに都合のいい市場になる」 軍に連なる「政商」と結託  ミャンマー中央銀行とともに証券市場設立に携わっているのは、日本取引所グループと大和証券。三者は一二年に設立に向けた覚書を締結(日取は合併前の東京証券取引所グループ)した。  大和が証券市場すらないミャンマーに進出した歴史は、意外なほど古い。一九九三年には傘下の大和総研が当時の軍事政権と接触し始めた。同国が東南アジア諸国連合(ASEAN)に加盟する前年の九六年に政府系金融機関のミャンマー経済銀行と合弁で「店頭取引所」であるミャンマー証券取引センター(MSEC・・・