危うい「選挙独裁」の蔓延
「分岐点」に立つ日本の民主主義
2015年1月号
自らの利益のために多くの人が望まぬことを強要するのは、形式上は民主主義の手続きをとっても、その精神において独裁に近い。
第四十七回衆議院議員総選挙で与党圧勝をもたらした総理大臣安倍晋三の手法は、与野党の大半の議員が望まず、世論調査で国民の六割以上が「必要ない」と首をかしげた衆議院解散・総選挙を強行したという意味で、独裁的だった。「選挙で勝てば何をしてもいい」と言わんばかりの「選挙独裁」の蔓延で、日本の民主主義は深刻な分岐点に立たされている。
延命のための解散の誘惑
投開票から一夜明けた十二月十五日、自民党本部での記者会見の冒頭、安倍は「悪天候の中、投票所まで足を運んでくれたことに感謝する」と語った。投票率が衆議院選挙で戦後最低の五二・六六%だった点を問われても、「投票率は、常に政治の課題」などと紋切り型の感想を並べただけで、「あの寒い雪、みぞれが降る中……」と、「悪天候」を強調した。有権者の半数が棄権したことを民主主義の危機とはとらえず、風雪のせいにするかのような態度に、民意を政治の「土台」ではなく、「道具」と考える安倍の本性がのぞく。
道・・・