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インド経済は「V字回復」へ

成長率で中国を抜く日は近い

2015年1月号

「我々は極めて困難な中にいる」  プラナーブ・ムカジー大統領はモディ政権発足後の六月、最優先課題として低迷する経済を挙げ、こう述べていた。インドは原油消費の八割を輸入に頼っており、「原油価格百ドル時代」という悪夢にうなされ続けてきた。二〇一四年五月に誕生した三十年ぶりとなる単独与党のインド人民党(BJP)政権を率いるナレンドラ・モディ首相の勢いをもってしても、景気が上向く気配だけで「持続性は疑問」(現地紙)とされてきた。  だが、やはり同氏は風を呼ぶ男だったのかもしれない。そびえ立っていた原油価格という高い壁はついに崩壊。十二月に突如、世界は変わった。眼前に広がる光景は、インドの未来に何をもたらすか。 「二桁成長も可能」  まず、原油価格と経済成長の関係を確認しよう。〇七年、WTI原油先物価格(平均値)は七十二・二九ドルでインドのGDP成長率は九・八%だった。翌年、油価が九十九・五九ドルに上昇すると成長率は三・八九%に下落。〇九年には油価が六十一・六九ドルに下落すると、八・四八%成長に浮上。その後もこの関係は変わらず、一四年は十一月までのところ、九・・・