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政治

財務省「解体論」がにわかに浮上

「歳入庁構想」を再燃させる官邸

2015年1月号

「今回の解散の経緯で、安倍首相の財務省アレルギーが決定的に強くなった」  まだ選挙の余韻が残る、衆議院選投開票日の翌朝、自民党重鎮議員は事務所でこう語りだした。アベノミクス、安全保障法制、憲法改正など首相安倍晋三が取り組む政策についての話が、途端に逸れていった。霞が関の玉座を占めてきた財務省が、安倍長期政権下で徐々に骨抜きにされるという。 自民党内の財務省派が後退 「選挙の前後から、官邸周辺が『歳入庁』という言葉を口にするようになった」  財務系政策に精通する自民党政調職員の一人はこう漏らす。二〇〇〇年代に入り、税や保険料など国に入るすべての収入を一元的に管理する歳入庁を創設する機運が高まった。一度目は小泉純一郎政権時代、もっとも盛り上がったのは民主党政権時代だった。いずれも財務省の抵抗により潰れたが、ここにきてまたぞろ頭をもたげているのだ。  千代田区霞が関三丁目一番地。戦中に完成した財務省庁舎は、霞が関はもちろん、永田町にも睨みを利かせている。地上五階建ての古びた建物の最上階に陣取っているのは外局である国税庁だ。徴税権という絶対的パワーを・・・