安倍一強「新五五年体制」の幕開け
無敵官邸が進める危うい「独善政治」
2015年1月号
首相安倍晋三が企図した「奇襲解散」は思惑通りの結果に終わった。自民党の獲得議席は二百九十一、公明党の三十五を加えると三百二十六議席。再び衆院での三分の二以上の大勢力を確保した。外形的には選挙前と比較すれば“横ばい”に過ぎないが、実態は議席数を超えた付加価値を安倍は手にした。見方を変えると、過去のどの首相もなしえなかった「異次元の政権」の確立に向けて歩み出したと言ってもいいかもしれない。
昨年十二月二十一日の日曜日、安倍は神奈川県茅ケ崎のスリーハンドレッドクラブでゴルフクラブを握った。十四日の衆院選挙投開票日から一週間。おそらく特別国会召集前にゴルフに興じた首相は前例がないだろう。しかも飽くなき戦闘意欲は投開票日当日の発言からも浮かび上がった。
「消費税の十八カ月先送りは解散をしなければできなかった。そこは菅ちゃん(官房長官菅義偉)とも一致していた。ポイントは解散のタイミングと争点設定にあった」
安倍は周辺にこう漏らした。二〇一五年十月から予定された消費税率の一〇%実施を先送りすることを安倍は早くから決めていた。問題は先送り法案を国会に提出しても成立できるかどうか・・・