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政治

《土着権力の研究》愛知県 旧フジチク

政財界と闇世界にいまだ絶大な影響力

2014年12月号

 二〇〇四年に食肉業界を揺るがせた牛肉偽装事件の発覚から十年が経過した。食肉業界のドンといわれた大阪の食肉卸大手ハンナン元会長、浅田満の裁判は今も継続している。一方、「浅田の舎弟」といわれ、中部地方の食肉流通を牛耳ってきたフジチク元社長藤村芳治は一〇年に最高裁で懲役八年、罰金三億円の刑が確定している。フジチクは事実上の休眠状態であり、過去の存在にも見えるが、実はいまだに地元で大きな影響力を持っている。名古屋の関係筋が打ち明ける。

「現在も中京地区での全ての食肉流通に藤村の親族やフジチク元社員が絡んでいる」

 同和利権を背景としたフジチク一派はいまだに地域に根を張り、食肉利権に巣食っているのだ。そのパワーは、地元政財界はもちろん暴力団や右翼団体にまで及ぶというから驚かされる。

いまだに政界に睨み利かせる

 現在、中部地方において「フジチク」や「藤村」といった名前を掲げた企業は表立った活動はしていない。たとえば、母体となったフジチク。藤村の父が一九五三年に設立した食肉卸会社だが、実は牛肉偽・・・