「辺野古移設」官邸と沖縄の騙し合い
沖縄新知事はいつ「変節」するか
2014年12月号
米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古沿岸部への県内移設の是非が問われた十一月の沖縄県知事選で、移設反対を訴える翁長雄志前那覇市長が移設容認派の現職、仲井眞弘多を大差で破って当選した。だが、これで辺野古移設が頓挫するわけではない。安倍内閣は狡猾な作戦を練り、埋め立て作業をごり押しする構え。
「いずれ翁長が変節する」との期待感も抱く。普天間基地の返還合意から十八年。政府と沖縄の化かし合いは、いつまでも終わらない。
「選挙結果に関係なく、予定通り粛々と工事を進めていく」。沖縄県知事選直後の首相官邸。菅義偉官房長官は周辺に言い切った。沖縄振興を所管する内閣府の関係者は「せめて十二月十四日投開票の衆院選で沖縄の自民党候補に悪影響を及ぼさないように、移設の動きを止めた方が得策だ」と見立てていたが、その声は安倍晋三首相や菅には届かなかった。官邸は早々と、台風で中断していた辺野古沖の海上調査を再開し、年内に工事用桟橋の設置に着手するよう防衛省に指示した。
仲井眞「やり逃げ」を画策
日米両政府が沖縄県の要望を受けて普天間の返還と県内移設に合意したのは一・・・