「少子化対策」を切り捨てた安倍政権
将来に禍根残す「致命的失政」
2014年12月号
「先送りすれば、少子化対策に致命的遅れをもたらすだろう」
すでに解散風が吹き始めていた十一月十三日。首相官邸で開かれた第二回景気点検会合で、恵泉女学園大学教授の大日向雅美はこう指摘した。消費増税の時期についての有識者からのヒアリングだったが、出席した九人の意見は賛否両論だった。今となればとんだ
「茶番」だったと取材した全国紙政治部記者が語る。
「少子化対策は安倍政権の数少ない国民生活に近い政策だった。こんな扱いでよかったのか」
今回の選挙の争点について議論百出しているが、首相・安倍晋三の記者会見をシンプルにみれば「アベノミクスの是非」以外は脇役だ。各党の政権公約、マニフェストには当然のように、少子化対策という言葉が盛り込まれてはいるものの、所詮は急ごしらえの弁当の付け合わせのひとつに過ぎない。
働かなかった女性副大臣
「三兆円もばら撒くなら七千億円をこっちに回してくれ」
内閣府の職員はこう嘆息する。来年四月から安倍政権の掲げていた女性活躍の切り札ともいえる「子ども・子育て支援新制度」が始まる。三兆円のバラマキとは、解散直前に政府・・・