米国務省「二重スパイ事件」の裏側
パキスタンと通じた「青い目の女」
2014年12月号
米連邦捜査局(FBI)が行った、ある家宅捜索の余波がジワリと広がっている。捜査の行方を、固唾を呑んで見守っているのはパキスタンだという。米国とパキスタン、さらにインドまで巻き込んだ「スパイ事件」は厚いベールに包まれたままだが、断片的な事実を組み合わせるとパキスタンが直面している苦境が浮き彫りになる。
「パキスタン専門家の米外交官がFBI捜査の対象に」
十一月六日付の米紙ワシントン・ポストにこんな見出しの記事が掲載された。家宅捜索を受けたのはロビン・ラフェル氏。六十七歳の青い目を持つブロンドの白人女性だ。
報道によれば、FBIがワシントン市内にあるラフェル氏の自宅の捜索をしたのは十月二十一日のことだった。米国務省のジェニファー・サキ報道官は「彼女はすでに国務省と雇用関係にない」とコメントした。
タリバンを育てた外交官
しかし、家宅捜索を受けた時点でラフェル氏はれっきとした国務省顧問だった。家宅捜索直後に国務省は、彼女の機密情報閲覧権限を停止し、十一月二日には彼女のオフィスを封鎖している。ラフェル氏は捜索直後に休職扱いになり、十一月に入っ・・・