米メディア界に「新王者」登場
「インターネットTV」で変わる勢力図
2014年12月号
米国のメディア勢力図が大きく変わっている。ケーブルテレビ事業の「コムキャスト」が、インターネット接続事業で規模を広げ、世界最大のメディア企業に躍り出た。メディア業界では、映画スタジオや報道機関、テレビ会社を併せ持つ「メディア・コングロマリット」が主役を務めたが、インターネットテレビ時代を先取りするように、接続業者が主役の座を奪った。
コムキャストのブライアン・ロバーツCEOは、日本ではほとんど無名だ。巨大企業の総帥なのに、ビル・ゲイツやウォルト・ディズニーのような創造性やカリスマ性はない。
だが、米国では今、最も注目されるメディア人である。ケーブル事業のトップ企業を率い、業界二位の「タイム・ワーナー・ケーブル」(TWC)を買収する目前だからだ。総額四百五十億ドル超の買収が成立すれば、契約世帯数は三千万を超え、米有料テレビ市場の三分の一、ブロードバンド市場の五分の一を占めることになる。
「ケーブル企業はほとんど地理的に重なっていないので、両社の合併は市場シェアの純増になります。利用者の六割が『また、料金が上がるのか』と反対ですが、結局認められるでしょうね」と、在ワ・・・