「アマゾン破壊」に突き進むブラジル
「ルセフ続投」が地球規模の損失を招く
2014年12月号
決選投票の末に僅差で再選を果たしたブラジルのジルマ・ルセフ大統領。三期続けての左派政権の誕生に、当然ながら世界の市場関係者は落胆した。だが、失望は経済だけにとどまらない。元極左ゲリラでありながらアマゾンの環境破壊に邁進するその姿から「チェーンソーの女王」の異名を持つルセフの再選は、地球上の人類全てにとって災厄にほかならない。
「アマゾンがサバンナになる」
「きれいごとでは政治はできない。議会での交渉や支持を得なければ、ブラジルを動かすことはできない」。ルセフは、大統領選挙期間中のテレビ討論会でブラジル社会党の対立候補マリナ・シルバから「不透明なカネの流れ」について攻撃され、こう切り返してみせた。八月末の世論調査で、一旦は支持率でルセフを上回ったシルバとは何者だったか。
同国西端に位置するアクレ州リオブランコ郊外の小さな村で生まれたシルバは、アマゾンのジャングルで読み書きも学ばずに育った。十五歳で母親を失った苦労人は、大規模農家による森林焼き打ちという不条理を目の当たりにする。その後、苦学の末に政界入りを果たしてからは、一貫して「環境保護」という軸はブ・・・