イスラム国が潰れない理由
テロ集団を「悪用」する周辺国
2014年12月号
罪のない一般市民を殺害し、追放する。同様に捕虜もまた虐待、殺害したかと思えば婦女子を奴隷として売り捌き、街や村落を破壊し、人質を殺す……。
およそ国際社会が戦争犯罪として禁止しているすべての種類の悪行と人道に反する行為で支配地域と近隣の住民を震え上がらせ、恐怖による支配(即ちテロリズム)を実行している「イスラム国」。このテロ組織が完全に取り除かれるべき現代の宿痾であることには世界的な一致がある。米国が主導する有志連合による空爆作戦には、イスラム世界の盟主サウジアラビアも参加しているのだ。
ウクライナやシリアの情勢をめぐり冷戦期さながら激しく米国と対立するロシアですら、この有志連合に参加しないまでも、イスラム国が攻め滅ぼされるべきであるとの結論については全くもって賛成である。十月、チェチェン出身のイスラム国幹部が「次の目標はロシアだ。一千人のジハード戦士を引き連れて故郷に帰り、ロシア人に復讐する」との声明を出して注目されたが、チェチェンとコーカサス地方のイスラム過激主義者を大量に受け入れ、テロリストの再生・揺籃の地となっているイスラム国がロシアの安全保障に与える悪影響も・・・