「自滅」する製紙業界
「海外勢」に席巻される日も近い
2014年12月号
「腐っているのは段ボールメーカーだけじゃない。紙業界全体が古い体質を抜け出せぬまま縮小していっている」
製紙や紙流通業界を長年見てきた紙代理店幹部はこう語る。公正取引委員会が今年六月、段ボールで価格カルテルを結んでいたとして、最大手レンゴーなど六十一社に計百三十二億円の課徴金納付命令を出した。しかしこれは氷山の一角。日本特有の複雑怪奇な紙流通システムはいまだに続いている。市場縮小の中で、流通業者の整理・再編が喫緊の課題だが、それもままならない。
「カルテル紛い」の値上げ
日本の紙流通システムのがんは、「多重卸」にある。日本製紙、王子製紙といった紙メーカーは、本体に営業・販売機能を持たない。超大口需要者である新聞社に直接納入するのを除いて、すべては一次卸業者である「紙代理店」を通して販売する。代理店を経た洋紙も大手印刷会社を除き直接ユーザーに届くことはほとんどなく、紙卸商(二次卸業者)に流れる。ここで需要家に販売されればましな方で、三次卸、四次卸と経由させることも珍しくない。
零細印刷業者の小口需要に対応できるこの形は戦後、オイルショックなどを・・・