原油下落はいつまで続くか
来春にも「反転」狙う投機筋
2014年12月号
原油価格の下落が止まらない。予想外の暴落にエネルギー輸出国の多くは茫然自失となっている。
「サウジアラビアと米国が結託して原油生産量を高水準に維持し、価格を暴落させてロシアとイランの経済を締め上げている」
米国や日本のエネルギー専門家の多くがこうした分析を得意満面で披瀝している。また、「サウジは米国のシェール・オイルがどの程度の価格下落に耐えられるか試している」という見方もあるが、実はどれも的外れだ。今回の下落の要因はひとえにサウジの傍観が招いたもので、米国との結託はない。
「米国の価格操作」は陰謀論
たしかに過去には、両国による原油価格操作を疑わせる局面があった。冷戦末期の一九八〇年代後半、二度の原油価格暴落時にサウジは米国の意に沿う形で原油生産量を維持して、一バレル十ドルを下回る「大暴落」を演出した。これは、現在と同様にエネルギー輸出に財政を依存していたソビエト連邦崩壊の一因となった。
しかし現状、サウジと米国の間に隙間風が吹いていることは周知のとおり。シリア、イラクで伸長するイスラム国(IS)掃討に躍起になっている米国にとって、・・・