サムスンが「自動車再参入」の愚挙
ルノーに騙された日産が「道連れ」
2014年12月号
「サムスン・グループが電機・電子分野の世界的トッププレーヤーであることは認めるが、自動車事業を甘く見てもらっては困る」
十月某日、ソウル市内のホテルで数百人の外国人投資家が集まったパーティーの会場でこう吐き捨てたのは大手自動車部品メーカー・デンソーの関係者だ。
スマートフォン事業の不振によるサムスン電子の業績悪化は底なしだ。次の柱となる有力な事業が見つからぬ中で、サムスン・グループが秘密裏に自動車産業に手を出そうとしている。それも部品などではなく、再び完成車メーカーになることを目論んでいるという。
後継長男が「タブー」を犯す
「この夏以降、釜山にあるルノーサムスン自動車の工場にサムスンの社員がひっきりなしに出入りしている」
この工場で技術指導を行っている日産自動車関係者はこう語る。ルノーサムスンと言われてもピンとこない向きもあるだろう。サムスン・グループが一九九四年に設立した三星自動車は、九七年のアジア通貨危機のあおりを受け、九八年三月にスタートした自動車生産は、わずか一年数カ月で中断となった。同時期、三星自動車に技術供与をしていた日産・・・