アベノミクスは何もしていない
伊東 光晴(京都大学名誉教授)
2014年12月号
―アベノミクスの是非を問うとして衆議院が解散されました。
伊東 問うも何も、安倍晋三政権はこの二年間何もしていない。政権の政策はもちろん、安倍首相によって日銀総裁に据えられた黒田東彦氏による金融緩和にしても、成果は何もない。株価の上昇を成果という向きがあるが、そもそも株価は政権交代前の二〇一二年十一月から上がり始めた。この株価を決めたのは東京証券市場を支配していた外国人投資家の動きだった。外国人投資家の買い越しは解散風など吹いていなかった同年十月第二週から既に始まっていた。
―円安を評価する声もあります。
伊東 政権交代直後から始まった円安は、為替介入によるものに他ならない。財務省財務官の専権事項であり、黒田日銀による金融緩和とは関係ないと私は断言する。日銀による金融政策が、経済に好影響を与えるなどということはない。外国からの株投資マネー流入は、リーマンショック・・・