遺伝子「差別」の時代が到来
「最先端」米国にみる酷薄な実態
2014年12月号
遺伝子検査ビジネスが、世界的に過熱してきた。米国ではすでに複数の会社が、DTC(消費者への直接販売)による遺伝子検査を開始している。我が国でもDeNAやヤフーなどのIT系企業が参入。検査結果を広告に利用する方針が、議論を呼んでいる。
最新の遺伝子検査では、唾液を採取して検査会社に送るだけで、がんや糖尿病などにかかるリスクや、肥満や薄毛のリスクなどが分かるといわれている。費用は検査項目によって異なるが、おおよそ一万~三万円程度だ。
現行の遺伝子診断は「現代の星占い」と揶揄されるレベルだが、今後研究が進めば精度は高まるだろう。そうなれば、将来の発病リスクを評価して、各人に見合った対策をとることも可能になる。しかし、遺伝子検査の発展を、我々は手放しで喜ぶことはできない。今後危惧される最大の問題に、遺伝子「差別」があるからだ。
雇用差別は着実に増加
米国では五年前、早くも「遺伝子情報差別禁止法」が施行されている。自らの遺伝子検査の結果によって、雇用に関する差別を受けたと感じた人がいれば、雇用機会均等委員会に訴えることができる、とするものだ。
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