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「老化」が進む中国経済

深刻度を増す「成長鈍化」

2014年12月号

 中国経済はどこに向かっているのか。足元をみれば主要産業の低迷、不動産の下落、地方政府の累積債務など中国経済は大きく揺らいでいるが、習近平政権は「成長鈍化は『新常態』」として無理な浮揚策は採らない方針だ。財政出動による化粧がはげ落ちてきた今、中国経済に見え始めたのは「老い」の様相である。日本経済は高度成長期後、ゆったりとした成熟化をたどり低成長期に入ったが、中国経済は一気に老化が進む。それはハードランディング以上のリスクになりかねない。  十一月に北京で開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議は、日本では三年ぶりの日中首脳会談と久しぶりに現れた北京の青空、突然の解散総選挙ばかりがニュースとなった。逆に言えば「環太平洋経済連携協定(TPP)」など本題はなにも進展がなかったわけだが、会場では本題そっちのけで首脳や随行の官僚たちが語り合った「影の主題」があった。 「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」である。中国が発案、主導するアジアにおける鉄道、道路、空港、港湾などのインフラ建設の資金を貸し付ける新しい銀行だ。APEC首脳会議を控えた十月二十四日に二十一カ国が合意・・・