「財務省」かく敗れたり
「再増税延期」官邸との暗闘の内幕
2014年12月号
「財務省はいつまで麻生さんにすがっているんだ。もういい加減にしろ」
十一月十四日、官房長官菅義偉は財務省事務次官香川俊介を首相官邸に呼び厳しく叱責した。
菅の香川への怒りの背景には二〇一五年十月から消費税率を一〇%に引き上げるのを見送ることを大義名分に衆院解散・総選挙を断行する流れが固まったにもかかわらず、財務省がなお副総理兼財務相の麻生太郎を盾にして抵抗の姿勢を崩さなかったからだ。麻生は首相臨時代理を兼ねていた。
香川は体調が思わしくなく杖を突きながら政府・与党の要路を訪ね歩いた。この日は自民党本部でも香川の姿が目撃されている。
「解散しても消費税を上げる余地を残してほしい」
悲愴感を漂わせながら香川は繰り返し、消費税率の引き上げを先送りした場合のリスクを説いて回った。
首相安倍晋三は十日から北京で開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議への出席をはじめ、中国、ミャンマー、オーストラリア歴訪中で日本を留守にしていた。オーストラリアのブリスベンでは世界経済立て直しのための主要二十カ国・地域(G20)首脳会議が予定された。麻生は安・・・