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加速する中国「新シルクロード構想」

マネーと軍事力で「中華圏」を拡大

2014年12月号特別リポート

 中国の銭其密元外相が鄧小平の言葉として紹介した「韜光養晦」(背を低くして強くなるまで待つ)の戒めはかなぐり捨ててしまった。習近平中国国家主席が十一月十、十一の両日北京で開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳宣言に、「アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)をできるだけ早く実現する」との文言を盛り込むことに成功したのは、日米両国が中心になって進めている環太平洋連携協定(TPP)に対する痛烈なカウンター・ブローである。すでに関係国間で合意を見ている「シルクロード基金」や「アジアインフラ投資銀行」(AIIB)は、戦後米国が主導してきた国際通貨基金(IMF)、世界銀行(WB)、アジア開発銀行(ADB)を含む金融、貿易体制への挑戦にほかならない。

 冷戦の前と後の国際秩序が根本的に異なるのは、冷戦期にはイデオロギー、政治、経済などが東西両陣営で完全に分かれていたのに対して冷戦後は経済がグローバル化し、一国の動きが世界につながっていることだろう。中国がいくら嫌いになったからといって経済関係は断つわけにはいかなくなった。とりわけ、アジア太平洋地域の国々はすべてが中国・・・